ちょっと難しい話をすみません。
私は直接体験していないんだけど、1970年代にメタボリズムという建築と都市に関する理論運動が存在した。東京大学の丹下研究室を中心として槙文彦、黒川紀章といったメンバーを中心として都市は新陳代謝するという概念でその運動を展開していた。新橋にあった中銀ビルなどもそうだ。
私が建築を勉強していた90年代、その理論的支柱として存在していた磯崎 新はこの運動に対して一定距離を置いていたというのがインターネットなどで検索しても出てくる。
そして、この間の香港に旅行に行った際に磯崎 新の「Incubation Process(孵化過程)」の展示を観た。東京湾の地図に釘を打ち込み、被膜ワイヤー(紐)を張り、石膏で地表を作ることで”都市が生まれてゆく”模型で来場者(子供含む)も一緒につくる参加型パフォーマンスで完成した模型とヴィデオ映像を観た。
シンガポールなどではメタボリズムの理論・概念は採用され、一部の公共建築にその思想が反映されている。シンガポールという都市の風土、国民性にメタボリズムの概念の相性が良かったのだろう。
また、オランダの建築家レム・コールハースはアジア発の建築設計の運動として、西洋にないものとしメタボリズムを評価している。
しかし、しかしなのだ。私からすると東京大学という日本最高の知性が寄ってたかって集まって、時代の空気にも呼応し提案した都市概念に誤りがあったことの方が大問題なのだ。
磯崎 新氏は敗戦の記憶や、父との確執、幼い妹の面倒を見て成長したという過去を持つ、私からするとかなり藝術に近いタイプの人である。しかし、彼が必死になって抗ったものは私にはその正当性が証明されたように思う。
いわく、都市の構造は複雑怪奇で部分の交換だけでは”全体の老化”は止められない。ということが分かったというのです。実際都市は物理的な存在/自然な生命体ではなく、権利・資本・行政・法制度のネットワークで動いています。
磯崎氏はニューヨーク、ロサンゼルス、スペイン、上海、中東と東京よりも世界的に仕事をして東京を見つめてきた人です。
恐ろしいのは都市はほおっておけば成長するということではないということです。羽田からトランプのような人物が現れて、ビーストと呼ばれるリムジンで夜、皇居に入り、天皇と会うことで東京の街の位相が変えられてしまうということでしょう。
その間に我々のつゆ知らないところで米兵と新首相が手を結び抑圧の体制を整える。
私のようなひねくれた人物にとっては呼吸しづらいなと思ってしまうが、しかし、そうでもしないと都市が衰退の方向に向かってしまうという現実があるのかもしれない。
下記の絵ですが、私がナッシュビルにいって面白いなと思ったのは、ナッシュビルは教会、大学といった学ぶサイドとビジネス、行政府といった生産サイドの2極で都市を運営していることでした。参考になるか分かりませんが。

